海外で風邪を引いたときの対処法

いつも同じパターン
海外取材のときに体調を崩したことが何度かあります。今回は、なぜ体の調子が悪くなるのか。また、体が言うことを聞かなくなったとき、どうやって切り抜けてきたかをお話していきます。

旅先ではよく風邪を引きます。私の場合、何だかだるいなと思ったら、数時間後に熱っぽくなり、やがて熱は40度近くまで上がります。関節の節々が痛くなり、動くのがかったるくなっていく。数時間後、咳が出て鼻がつまりはじめます。

経験上、風邪を引くのは、急激な気温の変化に身を置いたときです。

アメリカ、ニューイングランド取材のとき、現地に着いて2日目に体調を壊しました。初日に宿泊したホテルが歴史あるヘリテージハウスで、かなり寒かったのです。夜、暖房を入れても部屋がなかなか温まらず、初日は震えながら毛布にくるまって眠りました。そしたら見事に風邪を引きました。

雨期の季節に訪れたインドでも大変な思いをしました。ある日、土砂降りの雨の中、全身ずぶ濡れになりながら街中のスナップ撮影を行ったのです。写真を撮っているときはそれほど雨の冷たさを感じませんでしたが、体には相当無理がかかっていたのでしょう。次の日、40度を超える高熱が出ました。その日の晩は夜行列車で300キロ先の街へ移動です。キャンセルするわけにはいかなったので、フラフラな状態で電車に乗り込み、旅を続けました。

カナダ、ニューファンドランドでも激しく体調を崩しました。渡航前は30度を越える野外で撮影活動を行っていたので、体は完全に夏モードに切り替わっていたのです。成田、モントリオール、ディアレイクと、約18時間に及ぶフライトで現地入りしたら、何と外気温は4度、真冬並みの寒さです。冬用の防寒具を持っていなかったので、初日は薄着のまま風景撮影を行いました。2日後、風邪の症状が現れます。その後、40度を越える高熱が3日間も続きました。

海外では体調を崩しても休めない
人はなぜこのような急激な気温差で風邪を引いてしまうのでしょうか。15~20度の変化に身をさらすと、自立神経が乱れて体温調整が追いつかず、体調を崩してしまうことが稀にあるそうです。免疫力がいっきに低下し、いつもだと全く問題なかった風邪ウイルスにフッと負けてしまうのでしょう。手洗いやうがいを徹底しても、こればかりは防ぎようがありません。

日本にいるときだったら、仕事をセーブし、家で安静にしていればいいでしょう。しかしスケジュールがびっしり詰まっている海外では、風邪を引いたからといって動きをとめるわけにはいきません。飛行機や電車、ホテルの予約を一つ動かすだけでも大変で、お金も掛かります。

だから海外取材のときは、たとえどんなに体調が悪くても、予定通りに動いています。アメリカ、ニューイングランドの取材は、現地のカントリーハウスのインテリアを撮るという仕事でした。高熱があるのでまさにフラフラな状態でしたが、一緒にいた編集者、ライター、コーディネーターに支えられながら、何とか撮影を続行することができました。

体を温めることが大切
海外で風邪を引いたときは、とにかく自力で治すしかないと思っています。体調が悪いなと感じたら、可能な限り早めにホテルに戻るようにしています。

部屋に入ると、まずは温かい紅茶を飲んで体を温めます。コーヒーの方が好きですが、このときばかりは紅茶に切り替えます。なぜなら、紅茶は「発酵」によって体を温める作用があるからです。熱々の紅茶を2杯も飲めば、全身がポカポカしてきます。そして、二重にした毛布にくるまり、ベッドに入ります。安ホテルには余分な毛布がありません。そんなときのために海外へは薄い羽毛の寝袋を持って行くようにしています。

早い時間帯だとなかなか眠ることができませんが、横になってじっとしているだけでも体が休まります。たとえ食欲がなくても何かを口にし、22時頃、日本から持ってきた市販の風邪薬を飲んで眠ります。風邪薬はいつも粉末のパブロンゴールドAです。

翌朝も食欲はありませんが、無理してでも朝食を取るようにしています。日中はフラフラな状態になりながら各地を巡り、撮影活動を行います。ベストショットが生まれそうなときは、一時、体調の悪さを忘れることがあります。

夜は、夕景の撮影を諦めるなどして早めにホテルに戻り、前日と同じことを繰り返します。とにかく温かい飲み物で体を温め、1時間でも多く眠ります。

すると面白いことに、3日も経つと熱が下がり、4日目には元気を取り戻すことができるのです。咳は3~4週間取れませんが、帰国便に乗るときは、「いったいあの風邪は何だったたんだろう……」というくらい体は元通りに戻っています。

旅先で注意していること
急激な気温の変化に身を置くことを極力避けるようにしています。夏場はエアコンの温度を高めに設定して眠ります。海外のホテルの部屋に設置されているエアコンは、送風の微調整ができず、まるで扇風機のように強い風が出るものがあります。部屋の空気が掻き乱されているときは、エアコンを必ずOFF にして眠るようにしています。

一つ盲点としてあるのが、国際線の飛行機です。日本の航空会社は全く問題ありませんが、外資系の航空会社の機内は設定温度がかなり低めです。夏だからといって半袖のTシャツやポロシャツで搭乗してしまうと、体が冷え、かなりの確率で風邪を引きます。私はたとえ真夏でも、機内では薄いフリースを着るようにしています。

旅先で体が冷えてしまったとき、日本では自動販売機で温かい飲み物や、コンビニのラーメンやウドンなどで体を温めることが可能ですが、海外ではそれをすることができません。スーパーに行っても、温かい食べ物は一つも売っていません。

私は中華料理のレストランに足を運び、スープや麺類、チャーハンをオーダーするようにしています。そしてホテルの部屋に戻ると湯を沸かし、熱々の紅茶を何杯も飲みます。

いずれにせよ、体は思っている以上に正直です。どんなに注意していたとしても、そこに、忙しさやストレスなどが加わると体調を崩します。

幸い、いままで海外で経験したのは風邪のみで、胃腸を壊したことは一度もありません。インドから帰国後に激しい下痢の症状に見舞われ、感染症専門医に即入院となりましたが、日本での出来事だったので、ベッドでうなされながらも、どこか安心感のようなものがありました。

【終わり】

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