コロナ禍でのカナダの旅 02【カナダ入国・滞在編】

カナダ到着 入国審査

9時間半後、AC004便はカナダ、バンクーバー国際空港に到着しました。34年間でカナダは100回以上訪れているでしょうか。いつも北海道にでも行くような感覚で気軽に入国していましたが、さすがに今回ばかりは緊張しました。

まずは入国審査場前に設置された機械でパスポートをスキャンし、顔写真を撮影します。その機械から出てきた細長い出力用紙を持って有人ブースへ。入国審査を受けました。今回は女性の審査官です。

審査官は、「カナダに来た目的は?」「滞在はどのくらい?」「どこに行くの?」といつも通りの質問を投げてきました。私は、「写真を撮りに来ました。行き先はケベックシティとプリンスエドワード島です」と答えます。すると審査官は、「プリンスエドワード島は美しいところよね。私もいつか言ってみたいわ」と顔をほころばせます。

コロナに関する質問が全く出ないので、私は「今はコロナ禍なんで、旅することが少々が不安です」とつい余計なことを口走ってしまいます。すると審査官は、「フォトグラファーは常に自然の中にいるから、全く心配いらないわよ」と笑っていました。

パスポートと書類が戻され、入国がOKになりました。束になって差し出した書類はまったく見ませんでした。ArriveCANの情報はすでにパソコン内に入っているし、陰性証明などは搭乗前にエアカナダのカウンターでチェックされている。ここでは余計な仕事はしない、ということなのかもしれません。いかにもカナダらしいです。

入国審査はあまりにも簡単で、というかいつも通りだったので、拍子抜けしてしまいました。

その後、スーツケースをピックアップ。ゲートを通過して到着ロビーに出ます。ゲート横にPCR検査場がありました。乗客の中からランダムで選ばれて検査が行われるとのことでしたが、観光客がここで引っ掛かることはまずないと思います。検査されるのは、おそらく移動中に発熱などの症状があった人だけでしょう。

空港ホテル「フェアモントバンクーバーエアポート」にチェックイン。到着は朝の9時半でしたが、部屋を用意してくれました。その日の午後、スカイトレインに乗ってバンクーバーのダウンタウンに出てみます。34年前、すべてはこの街からはじまったんだな〜と1人感慨にふけり、ストリートを歩きました。

カナダの国内線での移動

翌日、バンクーバー8時15分発、AC304便でモントリオールへ移動します。自動チェックイン機で搭乗券と荷物タグを取得。タグを取り付けたスーツケースをベルトに流したら、それで終わりでした。

心配していた陰性証明、ワクチンパスポートのチェックはありませんでした。つまり日本人はひとたびカナダに入国してしまうと、カナダ人と同じ扱いになるのです。(注・2021年11月1日から、カナダ人が飛行機や電車などに乗る際には「ワクチン接種の証明書」の提示が義務化されるそうです)

自動チェックイン機が並ぶ出発ロビー。今は多くの空港で、乗客自らが搭乗手続きを行う。

満席のAC304便に乗ってモントリオールへ。その後、同じく満席のAC8708便に乗ってケベックシティへ。ケベックシティの空港は、物々しい雰囲気はまったくありませんでした。スーツケースをピックアップし、タクシーを捕まえて、予約した市内のホテルへ移動します。タクシーの運転手はマスクをしていませんでした。

翌日から旧市街に出て撮影をはじめます。ケベックシティは30回以上訪れているでしょう。ストリートには観光客が行き交い、いつもと変わりない光景が広がっていました。あまりに普通なので、コロナ禍というのを忘れてしまった程です。観光客や地元の人で、マスクをしている人はあまり見掛けません。しかしホテルやレストラン、ミュージアムなどの屋内では、マスク着用率は100%でした。義務化されているのでしょう。

レストランは、日本で取得したワクチンパスポートを見せれば入店することができました。ファーストフード店も、店内で食べるときは必ずワクチンパスポートのチェックが入ります。

ケベックシティの旧市街。外でマスクを着用している人はほとんどいない。

プリンスエドワード島へ

5日後、AC8707便に乗って「赤毛のアン」の故郷、プリンスエドワード島に移動しました。20代の頃に暮らしていた、私の第二の故郷です。この島を訪れるのは実に3年ぶり。

プリンスエドワード島は、カナダの中でも特にコロナの水際対策を厳しく行っている州として知られています。空港と橋とフェリーターミナルで、島に入るすべての人のPCR検査が行われるという徹底ぶり。そのため、1日の平均の感染者数は0〜3人程度、それも感染者は他州から島にやって来る人に限られます。

飛行機から降りて空港建物内に入ると、そこには検査場がありました。青い防護服に身を包んだ10人ほどの検査官&スタッフが、乗客1人1人を順番に検査していきます。

私の番が回ってきたので、6番のブースに移動します。WEBで取得したPEIpass番号を伝えると、パソコンの画面上に私の情報が即座に表示されました。検査官に、滞在ホテル名と住所、携帯の電話番号を伝えます。そして綿棒を鼻に入れる鼻咽頭ぬぐい液検査が行われました。

結果は数時間で出るらしいのですが、陰性なら「連絡なし」とのことでした。ただ陽性の場合は、保健所のスタッフがやって来て、病院の専用病棟に隔離となるようです。一つ厄介だと思ったのは、同じ飛行機でコロナ感染者が出た場合、乗り合わせた全員が濃厚接触者となってしまうことです。その場合どうなるかは聞きませんでいたが、しばらくホテルや自宅待機になるのではないでしょうか。

PCR検査が終わると、晴れて入州となりました。いつも通り、スーツケースをピックアップし、レンタカーを借りて街中のホテルへ向かいます。

平和でクリーンなプリンスエドワード島

翌日からプリンスエドワード島の撮影をはじめました。徹底した水際対策によって極限までコロナを押さえ込んでいる島なので、郊外で写真を撮っているとき、不思議な開放感がありました。マスクなしでシャッターを切っていたら、いつになく光がまぶしく、大気が美味しく感じます。夜、レストランに入って、友人と会話し、食事をし、お酒を飲んでも、何の心配もいりません。コロナ禍になってから初めて感じる安心感、来てよかったと心の底から思いました。

と言っても、アイランダーたちの感染対策は徹底しています。施設内ではマスクの着用が義務化。人と出会うとき、握手をしたりもしません。

「世界一美しい島」と言われるプリンスエドワード島。30年前と変わらぬ風景が広がっていた。

帰国の準備 PCR検査

島で過ごした夢のような5日間は瞬く間に過ぎ、いよいよ帰国に向けての準備を行うことになりました。日本の入国にはいくつかの書類が必要になりますが、その中で最も重要とされているのが、72時間以内に発行された陰性証明書です。今回のカナダ取材はプリンスエドワード島が最終目的地です。よって、帰国のために行うPCR検査は、この島で受けなければなりませんでした。

シャーロットタウンの検査場は、64 Park Streetにありました。検査に予約は必要ありませんが、陰性証明書を取得する場合は、このWEBサイトから事前登録をしなければなりません。

その際、必ずIs this report for travel? の「Yes」を選択、その下に出発日を入力してください。この部分を忘れると、検査結果が出るだけで、陰性証明書は発行されない可能性があります。

「Yes」を選択し、出発日を入力する。

帰国日の前々日のPCR検査が望ましいとされていたので、私は帰国2日前となる木曜日に検査場に行くことにしました。検査は1〜3時間待ちと聞いていたので、まだ暗い朝7時に会場に足を運びます。しかし誰もいませんでした(笑)並ぶというのは、日本人ならではの考えだったようです。(※日本到着が日曜日だと、木曜日に検査を受けると72時間オーバーになってしまいますが、飛行機での移動はカウントされないので、心配はいりません。72時間の規定はこのページのQ&Aに詳しく書かれています)

8時、検査場のゲートが開き、1時間も前から並んでいた私は1番乗りでPCR検査を受けることができました。終了後、駐車場を見たら50台くらいの車の列が出来ていたので、やはり日中の検査は1〜3時間待ちとなるのでしょう。

シャーロットタウンにある大きなコロナ専用検査場。ドライブスルー方式だが、徒歩でも入ることができる。この日は一番乗りだった。

プリンスエドワード島のPCR検査は、綿棒を鼻に入れる鼻咽頭ぬぐい液方式です。終了後、名刺大のカードが手渡されます。Test Resultsのページにアクセスし、カードに記されているナンバーと、名前、誕生日、検査日を入力すると、検査結果がわかるというわけです。その日の午後、早速入力してみたら、「Negative」の表示が出ていました。

陰性証明書の発行について

陰性証明書は、24〜48時間以内にメールで送られてきます。私の場合、翌日の15時半に届きました。

メールには、二つのPDFが添付されていました。一つはクイーンエリザベス病院発行の陰性証明書、もう一つは日本の厚生労働省が発行しているフォームに手書きで書かれた陰性証明書です。そう、日本に入国する際に、この書類が必要になってくるのです。通常は、本人が厚生労働省のこのサイトからファイルをダウンロードし、プリントアウトしたものを、PCR検査時に検査官に手渡す方式です。しかしプリンスエドワード島の場合、日本のフォームがすでに検査機関に登録されていました。そのことに妙に感動してしまいます。

左が、日本の厚生労働省の検査証明書のフォーム。右が、クイーンエリザベスホスピタル発行の陰性証明書。結果は「Negative」と記載がある。厚生労働省の検査証明書のフォームは、海外に出る前に必ずダウンロードし、プリントアウトして持っていくこと。

PCR検査と陰性証明書の発行は、カナダの大都市では通常300ドル(日本円で3万円)くらいかかります。しかしこの島は、すべて無料でした。しかし、いずれは有料になるだろうとのことです。

帰国日前日に陰性証明書が取得できたことで安心し、その日は夕暮れ時まで郊外で思う存分写真撮影を楽しみました。

01【カナダ準備・出国編はこちら】 03【帰国・隔離編はこちら

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