田んぼからの閃き
先にご紹介した写真集『Sense of Japan』では、「ゆき」「軽トラック」「黄色」「祈り」の4つのテーマで日本風景を追い掛けました。実はこの中で最も思い入れがあったのが「軽トラック」です。このテーマを見つけるまでの経緯をお話したいと思います。

約1年間暮らしたカナダから戻り、撮った写真を出版社に売り込んでいた頃です。神保町の大型書店で『たんぼ』という写真集を見つけました。イギリス人の写真家ジョニー・ハイマス氏が、日本各地の田んぼをテーマに作品を生み出し、それを一冊にまとめた風景写真集です。外国人の目を通して見る田んぼは、とても美しく、ロマンチックに描かれていました。
私はこの本を手にしたとき、強い衝撃を受けました。
当時、写真集と言えば、「富良野」「白神山地」「上高地」「京都」「タヒチ」「南仏プロヴァンス」といったような「土地」をテーマにした写真集ばかりでした。しかし、地名を使うことなく、「田んぼ」だけで一冊の写真集が形になったことに驚いたのです。
でも、それ以上に凄いなと思ったのは、写真家が撮影のテーマとして「田んぼ」を選んだことでした。
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