【連載】写真のひみつ 〜プロの心や技法を解き明かす〜

第一線で活躍する写真家吉村和敏の写真教室です。カメラやレンズの選び方、撮影テーマの見つけ方、風景や人物、料理や小物を撮るときのテクニック、そして、世界を巡る旅や生み出した作品集について、今まで「ひみつ」にしてきたすべてを語ります。

コロナ禍でのカナダの旅 01【出発準備・出国編】

 2021年9月7日、カナダは扉を開きました。ワクチン接種を完了し入国条件を満たしていれば、出国地を問わずカナダ入国が可能になったのです。到着後、2週間の隔離も必要ありません。そこで思い切って、カナダ取材を行うことに決めました。行き先は東部カナダの「ケベックシティ」と「プリンスエドワード島」です。

 しかし旅の準備はなかなか大変でした。ここに体験談を書きますが、これはあくまで2021年10月現在の状況です。条件、必要書類等は日々変化していきますので、最新情報はカナダ政府のHPを確認してください。

まずはワクチンパスポートの取得から

 何をするにもまずはワクチンパスポート(予防接種証明書)の取得からです。これは各市町村で入手することができます。私が住む東京都江東区で調べてみたところ、区のホームページから申請書をダウンロード、そこに必要事項を記入、パスポートやワクチン接種のコピーを添付、そして返信用封筒を入れて出せば、数日後に郵送で送られてくるとのことでした。受付は郵送のみです。

 ワクチンパスポートは、出発日が決まったら出来るだけ早めに申請した方がいいでしょう。江東区の場合、「中5日で郵送」と書かれていましたが、混んでいるとさらに時間がかかるようです。私の場合、申請から8日経っても取得できなかったので、区役所に電話をして状況を確認しました。その翌日、ポストに届きます。

 ワクチンパスポートはA4の紙一枚です。試しにコピーしてみたら、「コピー」「COPY」という透かしが浮き上がった状態で出力されました。常にオリジナルを使うのが望ましい、ということでしょう。ワクチンパスポートは、現地では常に持ち歩き、レストラン入店の際に出すことになります。よって、破いてしまったり、なくしたりしないように注意してください。私は現地ではクリアファイルに入れて持ち歩くことにしました。

A4のワクチンパスポート(予約接種証明書)1回目と2回目のワクチンの種類、メーカー名、製造番号、接種年月日が日本語と英語で書かれている。

eTAの取得 ArriveCANの入力

 カナダはeTAと呼ばれる電子渡航認証(5年間有効)が必要です。私は3年前に取得していたので、残り2年ありました。念のため、このページから有効期限を確認します。

 次に、ArriveCANを使って、渡航情報や自己管理プラン、症状の有無などをカナダ側に提出しなければなりません。ArriveCANはPC版とスマホのアプリ版があります。

 私はPCのブラウザで行いました。まずはメールアドレスとパスワードによってアカウントを作成します。次に航空会社、便名、到着日時を入力します。するとエラーメッセージ、先に進むことができませんでした。どうやらArriveCANは出発3日前でないと使えないようです。ちなみに今日は4日前でした。

 翌日、再びトライします。今度はフライト情報の入力でエラーが出ることなく、次ページに移動していけました。

 名前、携帯電話番号、1回目と2回目のワクチン名と接種日を入力します。最後にそれを証明する書類、つまりワクチンパスポートをデータ化したものを添付します。(A4のワクチンパスポートを、スキャナか、スマホの写メで撮るなどして、事前にデータ化しておく必要があります)

 しかしファイル添付時にまたまたエラー、先に進むことができません。どうやら添付ファイルの容量が大き過ぎたようです。そこで1メガ以下にダウンサイズして添付しなおすと、OKとなりました。PDFファイルよりもJPEGファイルの方が、エラーが出にくい気がします。

 その後、コロナに関する厄介な質問が幾つもありました。感染の場合カナダの隔離場所はどこにするか、そこは食料品や医療品は確保できるか、高齢者や基礎疾病のある人はいるか、などなど。そして当然のことのように、自己隔離先のカナダの住所、電話番号の入力を求められました。私は最終目的地のホテル「プリンスエドワード島、シャーロットタウンのThe Great George」の情報を入力します。

 質問は「YES」「NO」で答えていく方式です。大抵このような場合はすべて「NO」になりますが、質問によっては「YES」になるところもあります。よって、質問内容を正確に理解した方がいいでしょう。英語が苦手な方は翻訳ソフトを起動してください。

こんな感じで7つの質問があり、「YES」「NO」で答えていく。

 ArriveCANは、2021年10月現在、英語とフランス語だけです。カナダ政府には、早く他の言語も用意してもらいたいですね。

 すべての質問に答え、「SUBMIT」ボタンを押すと、ArriveCANの入力が完了となります。画面にはレシート番号が表示され、メールでも送られてきました。つまり、このレシート番号が取得出来ないと、データがカナダ政府側に送られていないことになります。

入力がうまくいくと、このようなレシート番号が表示され、メールでも届く。名前の横にVマークがあれば、カナダ入国時にそれほど調べられないらしい。

 実は、出発3日前でないと入力できないとわかったとき、試しにArriveCANのアプリ(Android版)をダンロードし、スマホで入力を試みました。何とスマホは4日前でも入力可能だったのです。(iPhone版はこちら

 スマホだと、ワクチンパスポートは写メで撮り、その写真を添付して送ることが可能となります。そして最後に幾つかの質問に答えた後、「SUBMIT」ボタンを押しました。しかし、何のリアクションも起こりません。レシート番号も表示されず、メールも届きませんでした。最初の画面に戻って凍結です。

 私のスマホだけたまたまエラーになった、ということだと思いますが、実に不安定なアプリだ、という印象を受けました。もしかしたらiPhoneの方は安定性があるかもしれませんが、試していないのでわかりません。

 ArriveCANは、すべての入力がうまくいけばレシート番号が必ず発行されます。届かない場合はエラーです。スマホからPC入力に切り替えるなどして、再度トライしてみてください。

 ArriveCANへの情報入力は出発3日前にならないと出来ない、というのは実に不便だと思いました。団体ツアーの場合、ArriveCANへの入力は旅行代理店の担当者が行うことになるでしょう。ワクチンパスポートのデータ入力、ファイル添付、そして幾つもの質問に回答していくのはかなりの手間と時間がかかります。仮に出発日が月曜だとしたら、担当者は土日休みが返上になってしまうかもしれません。

各州の入州申請の取得

 ArriveCANは、あくまでカナダへの入国申請です。実はこの他にも、州独自の申請が必要になってくる場合があります。今回訪れるのは、「ブリティッシュコロンビア州」、「ケベック州」、「プリンスエドワード島州」の3州です。調べてみたら、ブリティッシュコロンビア州とケベック州はArriveCANのみでOKでした。プリンスエドワード島州はPEI Passという別の申請がありました。

 PEI Passは、アプリでの提供がないため、PCやスマホのブラウザから入力していく必要があります。早速州政府のページにアクセス、名前、生年月日、パスポートをデータ化したファイルを添付し、送信ボタンを押します。すると難なくPEI Pass番号が発行され、メールでも届きました。ArriveCANと比べると何倍も楽でした。

PEI Passは簡単に取得できる。入力が終わるとこのようなメールが届く。島へ入る時はこのプリントアウトが必要。

PCR検査、陰性証明書の取得

 海外に行くにあたって最も重要なのが、PCR検査によって取得できるコロナの「陰性証明書」です。多くの国で3日以内(72時間)と義務づけられているので、検査は出発日の前日に行うのがいいでしょう。

 ここで少し不安に感じたのは、私の最終目的地が東部カナダだったことです。今はトロントとモントリオールへの直行便がないので、その日のうちに東部カナダに行くことが出来ません。バンクーバーで一泊しても72時間以内にモントリオール行きの飛行機に乗り継ぐことが可能ですが、空港から外に出た場合、日本で取得した陰性証明書が有効のままだろうか……と、ふと心配になったのです。

 出発日の前日、PCR検査を受けるためにWEBで予約した新宿のクリニックへ足を運びました。鼻咽頭ぬぐい液検査はすぐに終わります。費用は16,000円。検査結果と陰性証明書は、6時間後にメールで来るとのこと。しかし、自宅に戻った直後にメールが届いたのです。検査から2時間しか経っていない。日本は何をするにも敏速で、それでいて確実ですね。

 メールに書かれていたURLにアクセスし、名前と生年月日、携帯に届いた認証コードを入力すると、結果が表示されました。もちろん「陰性」です。陰性証明書のPDFも難なくダウンロードすることができました。

 陰性証明書は、「必ず紙にして海外に持っていくように」と書かれています。送られてきたPDFを自宅のプリンターでプリントアウト。念のため2部取りました。プリンターを持っていない方は、コンビニなどのネットプリントで出力するといいでしょう。空港のコンビニでも出来ます。

 現在、PCR検査は、多くのクリニックで行われており、費用は安いとことで2,300円、高いところで44,000円と大きな開きがあります。格安のクリニックでは、海外渡航のための正式な陰性証明書が発行されません。仮に発行されたとしても簡易的なもので、渡航先では通用しない恐れがあります。

 仮に費用が高くても、海外に行く時は必ずしっかりした医療機関で検査を受けることをお勧めします。検査機関の一覧は、厚生労働省のこのページをご覧下さい。費用や陰性証明書の可否が詳しく書かれています。

クリニックからPDFで届いた英文の陰性証明書。必ずプリントアウトして、海外に持っていく。通常は、72時間しか使えない。

空港へ 出国

 出発日当日、箱崎からリムジンバスに乗って成田空港へ移動しました。帰りは電車やバスなどの公共の交通機関を使うことが出来ませんが、行きは大丈夫です。

 成田空港はガラ〜ンとしており、ほぼすべてのお店が閉まっていました。いつも薬を買っていたドラッグストア、レンタルWi-Fiのカウンターもクローズです。保険と銀行はOPENしていました。いつも通りGPAで日本円からカナダドルに両替します。(この銀行が一番レートがいい)

2021年10月4日の成田空港。人はまばら。

 今回乗る飛行機は、エアカナダ、バンクーバー直行004便です。13時50分、Dカウンターが開くと、乗客が集まってきました。コロナ禍でいったい誰がカナダに行くのだろう……と観察してみると、帰国するカナダ人、ビジネス関係者、駐在員の家族、留学生などでした。さすがに観光客は1人もいません。

 チェックイン、つまり搭乗券や荷物タグの取得は機械で行います。このとき多くの人が間違えるのが、「手荷物」の数です。手荷物とは、機内に預けるスーツケースのことをさし、機内に持ち込む手荷物のことではありません。この部分の日本語訳を「機内預け荷物」に変えた方がいいのにな、といつも思っています。

 スーツケースを預ける際に有人カウンターに移動します。そこで必要書類の確認がありました。パスポート、eTAビザ、ArriveCANのレシート、陰性証明書の有無&日付を厳しくチェックさされます。このうち一つでも欠けていると、飛行機に乗ることはできません。

 私は地上スタッフに、「無事にカナダに入れますかね……」と質問してみました。すると、「はい、問題なく入れると思います。ArriveCANのこの部分にVのマーク(おそらくVisitorの略)があると、入国時は難しくないと聞いています」

 荷物検査、出国審査を終え、37番搭乗口で待機します。搭乗時間が近づいてくると、驚くことにたくさんの乗客が集まってきました。どうやらアジア方面からの乗り継ぎ客のようです。そう、どの航空会社も便数を減らしているので、今運行している便は連日満席に近い状態が続いているのです。AC004便のシートも7割方埋まっていました。

 全員がマスクをしています。外国人を見て驚いたのが、N95などの医療用マスクを着用している人が多いことでした。近頃私は、顔の下部がすっぽり包み込まれるフィッティの「やや大きめ」を好んで使っていますが、やはりN95にするべきだったかな……と思ったりもしました。

AC004便。コロナ禍でも、バンクーバーへは一日一便飛んでいる。混んでいるので早めに予約した方がいい。

02【カナダ入国・滞在編はこちら】 03【帰国・隔離編はこちら

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